top of page

2025年12月・2026年1月号 巻頭言

ホームページ巻頭言 2025年12・1月号

 

 

『 クリスマスの神秘を生きる 』  

 

                             主任司祭 使徒ヨハネ 田中 昇

 

  クリスマスにはクリスマスキャロルと呼ばれるこの季節特有の歌がよく歌われますが、実は日本で作られた最初のオリジナルのクリスマスキャロルは、カトリックの作曲家として活躍された新垣壬敏氏(1938-2024年)によって作曲された 『きかせてください』 (『カトリック典礼聖歌集308番』) だと言われています。


作詞は、当時関口教会の司祭で後に東京教区の補佐司教となった森一弘師(1938-2023年)でした。3部構成の歌詞は、主の降誕・クリスマスが意味することを短く的確にまとめています。

「(1)聞かせてください、羊飼いたちよ。あなたたちがいま耳にしたことを。――お生まれになったみどりごが、悲しむ人の友であることを。(2)教えてください、羊飼いたちよ。あなたたちがいま見たことを。――お生まれになったみどりごが凍える心の愛であることを。(3)歌ってください、羊飼いたちよ。あなたたちの今日のよろこびを。――お生まれになったみどりごが、疲れた心の平和であることを。」


 私たちはクリスマスにおいて、羊飼いと同じように神のみことばを耳にします。そして幼子キリストのうちに神の慈しみ深い姿を目にします。その主が来られ私たちの救いとなられたことを喜ぶのです。私たちの目や耳、そして心が主の到来に向けて真っ直ぐに開かれているでしょうか。私たちはちゃんと主を見られているでしょうか。主の声が聞こえているでしょうか。主の到来を喜べているでしょうか。 


この神秘が見えていない、聞こえていない、喜べていないなら、主の謙遜と愛に学ぶことでその原因である暗闇の力を取り除き、私たちの心を聖霊の賜物によってもう一度洗い清め照していただき、私たちを愛するために来られた主を愛をもって迎え入れようではありませんか。そして、もしこの神秘を心で感じ取り悟ることができているなら、私たちは自分が見て聞いて悟ったこと、感じ取ったことを隣人の語り聞かせ、そして自身の生活において歌うことができるはずです。私たちが本物のキリスト者であるなら、私たちはお生まれになったみどりごが、悲しむ人の友であること、凍える心の愛であること、疲れた者の平和であることを羊飼いたちとともに高らかに宣言することができ、またそうせねばいられないのです。私たち自身がクリスマスの神秘そのもので満たされ、喜び歌うことができますように。主のご降誕の恵みが、みなさんの上にありますように。 2025年 主の降誕に。

 

 
 
bottom of page